【9月10日付編集日記】太陽フレア

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 樹齢1900年の屋久杉は、はるか宇宙の営みを見つめてきた。その年輪を分析したところ、奈良時代の774年から775年にかけ、地球外から飛来した宇宙線によって生じる放射性炭素が急増していたという

 ▼同じ時代、ヨーロッパや中国では空に異変が見られたことが歴史書などに記されている。これらの現象はオーロラの可能性があるという。しかし普段は観測できない地域にオーロラが発生した原因は何だったのだろうか

 ▼有力なのは太陽表面の爆発現象「フレア」であるという説だ。フレアで放出された大量の粒子によって地球の磁場が乱れたことで、オーロラができたとみられる。屋久杉の放射性炭素の量から、かなり大きなフレアだったといわれる

 ▼フレアの影響は、古代よりも現代のほうが深刻だ。フレアで大量の粒子が地球に到達すると、地球の上空にある電離層に乱れが生じ、通信機器や衛星利用測位システム(GPS)に影響を及ぼす恐れがある

 ▼9月に入ってからフレアが連続して発生しており、研究機関などが警戒を続けている。古来、太陽は信仰の対象として世界各地で畏れられてきた。高度な文明を手に入れた現代でも、その力を見くびることはできない。