【9月24日付編集日記】空気を読む

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 以前、職場の部署で懇親会を開くことになった。会場について話し合うと「焼き肉がいい」と一人が提案した。その意見に何人かが賛同して、会場は焼き肉店に決まった。筆者は普通の居酒屋がよかったが言い出せなかった。空気を読んだのである

 ▼「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である―。評論家の山本七平さんは著書「『空気』の研究」に書いている。山本さんは、人々が議論することを避け、その場の空気に委ねて意思決定をするという風潮に強い危機感を抱いていたようだ

 ▼文化庁の国語世論調査によると、「空気を読む」傾向は強まっているそうだ。人と意見が食い違った際には「なるべく事を荒立てないで収めたい」が6割を超え、同様の質問をした2008年度より約10ポイント増えた

 ▼もちろん空気を読むことには良い側面もある。その場の雰囲気を壊さず、相手とのコミュニケーションを円滑に図ることができる。「和」を大切にする日本人らしい行為だといえる

 ▼しかし、空気にばかり気を使って意見を言えないというのも考えものだ。たまには仲間たちと普段考えていることについて屈託なく意見を戦わせる。それもお互いの信頼関係を育てる一手だろう。