【9月26日付編集日記】イナゴの味

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 子どものころ、いまの季節になるとよく食卓に上っていたが、大人になってからはしばらく口にしていない。甘辛くて、小エビのようなサクサクとした食感が特徴のイナゴのつくだ煮だ

 ▼学校が終わると黄金色に染まった田んぼ脇のあぜ道で、跳びはねるイナゴを必死に追いかけたものだ。友達とどれぐらい捕ったのかを競い合うのも楽しかった。いまでもイナゴはあぜ道にいるが、子どもたちがイナゴを捕る姿はあまり見かけなくなった。少し寂しいが、時代の流れなのだろう

 ▼一方で世界に目を向けると、虫は食品として存在感が増している。国連食糧農業機関によると、現在も世界では1900種類以上の昆虫が食べられているという。同機関は、世界の食糧危機の解決に虫を活用することを推奨している

 ▼理由は栄養価の高さにある。例えばイナゴに含まれるタンパク質は和牛の肩赤肉を上回る。古くから田園地帯の人々の健康を支えてきたイナゴ料理。後世に伝えていきたい食文化である

 ▼「蝗(いなご)等(ら)が飛ぶぞ世が良い世が良いと」は小林一茶が豊作を喜んで詠んだ句。コメの出来も気になるが、どうしたら世の中がもっと良くなるのか。一人一人が考えなければならない今年の秋だ。