【10月1日付編集日記】会津武士

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 旧会津藩士の町野主水は「最後の会津武士」といわれた人物。1917(大正6)年に行われた戊辰殉難者追悼50年祭では、雨にぬれるのを気遣った関係者の「(天幕の中に)お下がりください」との案内に対し、「武士に向かって下がれとは何だ」と大声で一喝し、気骨のあるところを見せた

 ▼主水の弟久吉は戊辰戦争で単身、新政府軍に突入し壮絶な最後を遂げた。その際の槍(やり)を町野家に返すかどうか問われた際、主水は「戦場で敵に奪われた槍を畳の上で受け取れるか」ときっぱり断った

 ▼主水の遺言にも会津武士の生き様がにじみ出る。戦死者の埋葬を十分にできなかったことへの負い目からか、自身の葬儀は亡きがらを莚(むしろ)に包み、縄で縛って馬に引かせよと息子に言い残した

 ▼来年は戊辰戦争から150年。会津では旧会津藩の歴史的な役割を考察し、会津武士の精神を後世に受け継ごうという機運が高まっている。主水ら先人の生き様にも今まで以上に光が当たる

 ▼愚直に「義」を貫いた会津武士。間もなく公示される衆院選でも各候補がさまざまな公約を掲げるだろうが、候補者全員が「ならぬものはならぬ」の気概で日本の将来を考えてくれれば、明るい光も見えるはずだ。