【10月16日付編集日記】そばと世界食料デー

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 この時期、県内各地で新そばを楽しむイベントが多く開かれている。「ひきたて、打ちたて、ゆでたて」の「三たて」の香り高いそばは秋を代表する味覚の一つだ。グルメを楽しむ人が増え、そばは観光振興に大きな役割を果たしている

 ▼しかしソバの歴史を振り返ってみると、昔は非常時に備えた「救荒作物」として栽培されていた。ソバについての最古の記述とされる「続日本紀」には、722年に元正天皇が日照りに備えてソバなどを植え蓄えるようお触れを出したとある

 ▼ソバは日照りや冷夏など稲が不作になるような気候でも収穫が見込め、荒れた土地でも栽培できることが特徴だ。また、そば粉はタンパク質やビタミンB群などを多く含み、栄養価も高い

 ▼幕末の蘭学者で医者の高野長英も、ソバの優れた点に注目していた。天保の大飢饉(ききん)を経験したことで、ソバの栽培を奨励した。そばは、食糧難を救う特別な食べ物だったのだろう

 ▼日本では昔のような飢饉はなくなったが、国連食糧農業機関によると、今も世界の人口の約11%が干ばつや洪水などの影響で十分な食事ができないという。きょうは「世界食料デー」だ。世界の食料事情に思いをはせて、秋の実りに感謝する。