【10月18日付編集日記】政宗生誕450年

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 戦前から戦後にかけて文壇で名をはせた白河市出身の芥川賞作家中山義秀が歴史小説「仇し野」で描いたのは安土桃山時代の二本松でしのぎを削る伊達政宗ら武将の姿だ。冒頭で二本松で過ごした自身の少年期に触れるなど作品への思い入れも読み取れる

 ▼小説では、政宗が父の輝宗と共に安達地方に勢力を広げた足跡を掘り下げながら、二本松の畠山氏や会津の芦名氏らとの攻防を描いている。臨場感あふれる筆致は読む人を引きつけ、今も色あせない名作だ

 ▼今年は政宗生誕450年に当たり、ゆかりのある伊達市は今月から、保原歴史文化資料館で特別展「伊達政宗と伊達市」を始めた。年内に講演会やシンポジウムなども開き、伊達氏を通じて多くの人に地域の歴史に理解を深めてもらう

 ▼目を引くのは輝宗と政宗がつづった約400年前の書状だ。当時は武将らが署名代わりに「花押」を書いた。今回は親子が記した実物がそろって公開され、歴史ファンでなくとも興味をかき立てられる

 ▼花押を見つめながら戦国の世を生きた親子に思いをはせると、義秀が小説に込めたいにしえのロマンがよみがえってくるようだ。本県の歴史を語る時には欠かせない政宗に触れる良い機会だ。