【10月24日付編集日記】心の中の危険水位

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 仕事の息抜きを兼ねて、職場の近くにある阿武隈川の遊歩道を歩く時がある。周辺は「隈畔(わいはん)」と呼ばれ、福島市の市街地にありながらも静けさが心地よい。宮沢賢治や若山牧水は吾妻連峰を背景に水面が光るのどかな景色に詩心を刺激され、和歌を残している

 ▼その遊歩道の脇に「洪水痕跡看板」が設置されている。死者3人が出た1986年の洪水をはじめ大きな被害があった水害の際、川の水位がどこまで上がったのかを示す。表示を見上げるたび、のどかなばかりではない川の怖さについて考えさせられてきた

 ▼きのう近くの橋上から看板を見ると、過去に洪水になった時の水位に届きそうなほどにまで濁流が上がっていた。福島河川国道事務所によると、ピークで通常より5メートルほど水位が高くなったという

 ▼郡山市の阿武隈川では7メートル以上とさらに水位が上がり、流域の約3万6000世帯に避難指示が出た。交通機関は大きく乱れ、超大型の台風は多くの人に影響した

 ▼各河川では過去の洪水を教訓に治水対策が進む。一方で、何十年や何百年に一度といわれる災害も起きている。油断せず、過信せず、「心の中の危険水位」を常に低めに設定しておくことが命を守ることにつながる。