【11月3日付編集日記】しがらみ

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 「しがらみ」という言葉は、過日の衆院選で「しがらみ政治からの脱却」などと使われたように普段はあまり良いイメージがない

 ▼しかし本来は「川の中に杭(くい)を打ち並べて、両側から柴(しば)や竹などをからみつけて、水流をせきとめるためのもの」で、そこから派生して「引き止めるもの」という使われ方がされるようになったそうだ。漢字では「柵」と書く(「新明解語源辞典」三省堂)

 ▼そのしがらみを上手に使ったのが、稲田を潤すために各地に造られた用水路である。福島市飯坂町の摺上川から水を取り、桑折、国見両町を経て伊達市の阿武隈川まで流れる西根堰(にしねせき)もその一つ

 ▼西根堰は下堰(したせき)、上堰(うわせき)の2本あり、下堰は来年、完成から400年の節目を迎える。重機もコンクリートもなかった江戸時代、知恵と工夫が随所にみられる。しがらみは一例で、いまは頭首工(とうしゅこう)という名の施設になって桑折町の産ケ沢川から水を引いている

 ▼県北北部の産業と暮らしを支えてきた西根堰は土木学会の選奨土木遺産にも選ばれている。あすは西根堰を巡る「献上桃の里 西根堰ふるさとウオーク」が行われる。西根郷も色づいた。浮世のしがらみをしばし忘れ、4世紀の歴史に思いをはせるのもいい。