【11月22日付編集日記】日本一遅い山開き

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 現代女流俳句の先覚者と評される杉田久女が、全国的に注目を集めた大正から昭和初期の句に「わが歩む落葉の音のあるばかり」がある。静まり返った冬の情景が目に浮かぶようだ

 ▼県内の山々は紅葉シーズンも終盤となり、秋の装いに彩られていた山肌も冬のたたずまいを見せ始めている。白河市の天狗山(標高626メートル)も同様だ。登山口から歩を進めれば、落ち葉を踏む音とともに、近くの清流のせせらぎが心地よく耳に響く

 ▼明日は「日本一遅い山開き」と銘打った天狗山の山開きがある。地元有志でつくる「おもてごう里山クラブ」は10周年を記念してピンバッジを作って参加者に配り、節目を祝う

 ▼「日本一遅い~」とは風変わりな山開きだが、会員には兼業農家が多く、農繁期後の方が、準備に都合が良かったのだそうだ。インターネットなどで口コミが広がり、首都圏方面からも毎回、大勢の登山愛好者たちが参加しているという

 ▼落ち葉を詠んだ秀句は多く、久女が師事した高浜虚子の作品にも「大空の深きに落葉舞ひ上る」というのがある。天狗山の頂上へ続く道は落葉樹林の中を通り、訪れる人々にとって初冬の風情をじっくり楽しむことができる絶好の機会となる。