【1月8日付編集日記】鳥小屋

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 寒空の下、赤々と燃え上がる炎にかじかんだ手をかざす。「この火で焼いた餅を食べると、ことし1年は風邪をひかないんだよ」。そう言って差し出された熱々の餅を頬張った。いわき市で「鳥小屋」を取材した時の思い出だ

 ▼鳥小屋は、同市とその周辺地域の伝統行事で、年末に田んぼや空き地などに竹やわらで小屋を建て、その中で地域住民が交流する。正月が明けると、しめ縄や正月飾りとともに小屋を燃やし、無病息災を祈るのが習わしとなっている

 ▼いわき市の歴史に詳しい夏井芳徳さんによると、鳥小屋に類似した風習は、江戸末期ごろにはすでにあったという。住民が大切に守ってきた文化だが、近年は少子高齢化などに伴い、鳥小屋を行う地域は少なくなってきているのが現状だ

 ▼一方で、コミュニティーの再生に鳥小屋を活用しようという動きもある。この連休中には、震災後から鳥小屋を中断していた広野町で復活した。いわき市の豊間地区でも15年ぶりに行われ、住民の笑顔が広がった

 ▼一つの大きな炎を囲む人々の姿からは、昔も今も変わらない住民同士の結びつきの強さが伝わってくる。ことし1年の幸せを願う輪の中に加われば体だけでなく、心までも温まる。