【6月15日付編集日記】スクリーン

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 郡山市出身の映画評論家で、本紙随想欄の執筆者の一人、三浦哲哉さんは、東京の大学で映画の講義を担当している。教室では映画の上映も行うが、ある時、随想で「映画館に逃げ込みたくなる」とぼやきを記した

 ▼三浦さんは講義で、これぞと思う作品を紹介する。しかし学問にばかり関心のある学生は感動が薄く、単位取得だけが目的の学生はスクリーンを見もしない。そう三浦さんは嘆く

 ▼そんな三浦さんにも朗報が届いているだろうか。県内で新しい映画館が20年ぶりにオープンを迎えた。いわき市に誕生した大型商業施設内のポレポレシネマズいわき小名浜。これで県内常設館は5館。1960年には172館あり、減少ぶりに驚くが、まずは門出を祝おう

 ▼映画は今やDVD、ネットなどメディアの変化で時と場所を選ばず見られる。しかし、それでも映画館は踏ん張り続け、支えるファンがいる。その理由を考えていると三浦さんの随想の一節が思い当たった

 ▼「ここでは皆が好きな映画を自分の金を払って見にきている。誰もが楽しもうと、スクリーンを食い入るように見つめている。ああ、これだよな、これなら映画も幸福だよな」。幸せな場所が永く愛されますように。