【6月19日付編集日記】要石

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 江戸時代の初期、巨大な竜の体が日本地図をぐるりと取り巻いている絵が描かれた。絵の真上には「大日本国地震之図」と書かれている。当時、地震は竜が起こすものと信じられていた

 ▼絵は、長い歴史の中で、たびたび地震に脅かされてきた国土の姿を表したものと考えられる。大ナマズが暴れたために地震が起きるという説が広まったのは、江戸中期ごろだという(「龍の棲む日本」黒田日出男著)

 ▼今月に入ってから、千葉県でマグニチュード4・0以上の地震が相次いでおり、群馬県でも震度5弱の地震があった。そして昨日、大阪府を震度6弱の揺れが襲った。まるで日本の地下に巣くう竜が牙をむいているようだ

 ▼大阪では地震によって尊い命が奪われ、けが人も多く出ている。交通や電気、水道などのインフラにも大きな影響が出た。これからしばらくは余震を警戒しなければならず、現地の人々にとっては気が抜けない日が続く

 ▼地震之図の竜の頭には、「かなめ石」と書かれた剣が突き刺さっている。要石には、揺れる大地を収める力が宿るという。地震そのものは抑えられなくても、人知を結集して被害を最小限に食い止める。そんな要石が、現代では求められている。