【6月21日付編集日記】夏至

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 中米に紀元前1千年ごろから2500年の長きにわたって栄えたマヤ文明は、石器と人力だけで巨大な都市を築きあげた。研究者の青山和夫茨城大教授は「石器の都市文明」と呼んでいる

 ▼代表的な遺構の一つに、10世紀ごろに最盛期を迎えたメキシコのチチェン・イツァ遺跡の神殿ピラミッドがある。太陽が織りなす光と影を利用することで、春分と秋分の日に限って巨大な光の大蛇が天から降臨して見えるように工夫されている。光の大蛇は風と豊穣(ほうじょう)の神・ククルカンを表現している

 ▼青山教授は、ピラミッドが王と住民が神秘的な体験を共有する重要な「政治的装置」だったと分析する。高い天文暦法の技術に支えられた仕掛けで、近くには天体観測所もあった。その建物の北東の隅は夏至の日の出の方角を指して建設されているという(「マヤ文明を知る事典」東京堂出版)

 ▼チチェン・イツァの街路を照らす太陽が、天体観測所の北東の隅から昇ったとき、マヤ人は「夏至になったか。また光の蛇が訪れるときが来る」と指折り数えて待っていたのだろうか

 ▼きょうは夏至。暦の上では夏の真ん中で、昼が最も長い日だ。梅雨時の日本列島では、何となく実感できないのが残念だ。