【7月10日付編集日記】豪雨災害

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 本県が梅雨入りしてから、きょうで1カ月がたったが、6月は中通りと会津地方を中心に空梅雨傾向となった。高温が続いたこともあって、農家は気が抜けない日が続く

 ▼かつて人々は、雨乞いをして天の恵みを待った。明治時代に書かれたいわき地域の郷土誌「磐城誌料歳時民俗記」には、みの笠(かさ)を着けた村人たちが山に登ってたいまつを燃やし、一斉に「雨たまへ 竜王やい」と叫んだと記されている

 ▼竜王は雨や雲の動きを支配し、豊作をもたらしてくれる神として昔から信仰を集めてきた。仏教では、ヘビのような姿をした8体の鬼神を「八大龍王」と呼び、全国の神社仏閣でまつっている

 ▼西日本を中心に記録的な大雨に見舞われた。河川が氾濫して、泥流が住宅地を襲い、建物をのみ込む。時を追うごとに増える犠牲者。胸が締め付けられる思いだ。近畿や中国などはきのう梅雨明けしたが、今度は熱中症や、水や泥による感染症も心配される

 ▼鎌倉幕府3代将軍で歌人でもあった源実朝は、農民たちが洪水で苦しんでいることを知り「時により過ぐれば民の嘆きなり八大龍王雨やめたまへ」と詠んだ。竜王よ、なぜこんな仕打ちをするのか。恨めしい気持ちで、空を見上げる。