【7月20日付編集日記】東山芸妓

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 県内を舞台に多くの作品を残した松尾芭蕉。彼の俳諧理念に「不易流行」がある。時代を超えても変わらないもの(不易)と移り変わるもの(流行)を統合するといった意味合いだろうか

 ▼以前取材した創業160年を超す老舗が家訓に掲げていたが、経営にこの理念を取り入れている企業は少なくないと聞く。伝統にあぐらをかかず、絶えず変化を重ねていくことは、企業経営にとどまらず大切なことだろう。会津に根付く伝統産業もその一つといえる

 ▼かつて「出羽で庄内、最上で上の山、此処(ここ)は会津の東山」とうたわれた会津若松市の東山温泉。100人以上の芸妓(げいぎ)衆を抱えていた最盛期には及ばないものの、約20人が磨き上げた芸を脈々とつないでいる

 ▼多くの文人墨客に愛されてきた東山温泉。画家で詩人の竹久夢二も何度か訪れ、芸妓を作品に描いている。時代が移り変わり、訪日外国人旅行者の誘客に向けて海外で行うイベントでは、東山芸妓の舞がひときわ注目を集める

 ▼「会津の伝統文化を広めたい」と、来春の芸妓デビューを目指す19歳の短大生が稽古に励んでいる。若者が伝統に新たな息吹を吹き込む。会津の誇る文化が次世代に継承されていくのはうれしい限りだ。