【7月26日付編集日記】会津そば口上

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 会津に赴任していた頃、あるお祝いの席に招待された。杯が進み、宴もたけなわ。お膳には締めのそばが運ばれてきた。すると「とざい、とーざい、ちょっと鳴り物止め置きまして...」。そばを打ってくれた男性が鉢巻き姿で登場した

 ▼「会津そば口上」を初めて聞いた時の感動はいまも覚えている。ソバの生育から調理、食べ方まで、軽妙なリズムに乗せて口上を披露する。「一番にたれカツオの助、二番に大根しぼり高遠の助...」など多彩な薬味が歌われることもある

 ▼会津では古くから、そばは晴れの日のごちそうだった。そば口上は祝宴に花を添えようと始まったといわれる。地域や家ごとに伝承されており、その内容もさまざまだ。全国でも珍しい文化だが、後継者の高齢化が進んでいるという

 ▼そばを通して会津の振興に取り組んでいる団体が8月、そば口上の後継者を育成するための道場を開設する。道場では、生徒がそば口上の歴史や節回しなどを名人から学び、オリジナルの口上作りにも挑む

 ▼道場生は研さんを積み、県内各地のそばまつりなどでの発表も目指すそうだ。どんな名調子を聞くことができるだろうか。きっと、そばの味をより引き立ててくれるに違いない。