【7月27日付編集日記】むかしばなし

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 桑折町の半田沼に伝説がある。沼の水を飲み、病の治った娘、早百合姫が姿を消した。捜すと沼の底に屋敷があって、娘は沼の主、赤牛の嫁になっていた。そして捜しに来た男に「帰れない」と言い、父母に渡してほしいと襦袢(じゅばん)の片袖を託した

 ▼県北のグループ「麦わらぼうしの会」が地元の民話などをまとめた「しのぶ・あだたらのむかしばなし」の一編「沼の底のおやしき」。悲しい話だが救いを残し終わる。その後、日照りになると早百合姫は村人たちへのお礼に雨を降らせたという

 ▼語り継がれてきた伝説や民話にはその土地の長年の記憶が刻み込まれているのだろう。半田沼の伝説で日照りが語られるように、災害にまつわる昔話は少なくない

 ▼会津の只見川流域には「白髭(ひげ)水の洪水」と呼ばれる伝説がある。会津が洪水に見舞われた16世紀前半、白髭の翁(おきな)が大きな丸太の先に乗り「大洪水が来るぞ」と村人に知らせたという(会津地方振興局「只見川なるほど絵巻」)

 ▼昔話が愛される第一の理由は不思議な物語の魅力だろう。ただ、人々が助け合い苦難を乗り越えてきた歴史を伝えるのも昔話。災害など苦難は今も絶えない。夏休み、子どもたちに語り継ぐには、いい機会だ。