【7月31日付編集日記】パレオパラドキシア

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 深い谷の両側に温泉宿が並び、吾妻連峰の山々が背後にそびえる。そうした山あいにある福島市の土湯温泉が大昔は海だったと言われても、簡単には想像することができない

 ▼しかし、どうやら本当のようだ。土湯で発見され、筑波大の収蔵庫で約60年も人知れず保管されていた正体不明の化石が2300万~1千万年前の海に生息していた大型哺乳類パレオパラドキシアだったことが分かった。発見当時は「恐竜の骨ではないか」と地元で話題になっていたものだという

 ▼パレオパラドキシアの意味は「謎めいた古生物」。北太平洋地域沿岸の浅い海にすんでいたというが、その名の通り生態は謎に包まれている。土湯で発見された化石は筋肉が付いているなど保存状態が良いため、研究の進展につながる可能性を秘める

 ▼本紙に載っていた復元図を見ると、ジュゴンのような姿でなかなか愛嬌(あいきょう)がある。地元の観光協会は早速、ご当地キャラを作成した。化石発掘体験などのイベントも企画したい考えだ

 ▼ミズバショウやヒメサユリが咲く美しい自然と、こけしなどの伝統文化がある土湯温泉。その魅力がまた増える。60年ぶりに目覚めた化石が、訪れる人たちを太古のロマンにいざなう。