【8月4日付編集日記】古関楽団

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 才能を天に愛された人がいた。テーマや詩を前にしてその情景を浮かべると、音楽がどんどん頭の中に湧き出す。それを五線紙に写し取れば、美しくも心に染みる曲として完成する。福島市出身の作曲家古関裕而である

 ▼作品の中でも傑作として名高いのは1964年東京五輪で演奏された「オリンピック・マーチ」だろう。古関の自伝によれば、依頼は「日本的なもの」だったが、民謡や雅楽などは参考にせず、脳裏に浮かんだ行進曲のメロディーをひたすら書き取ったという(「鐘よ鳴り響け」主婦の友社)

 ▼その名曲を2020年東京五輪でも鳴り響かせようという運動が始まった。福島商工会議所青年部が主体となり、古関の母校、福島商高の吹奏楽部などをメンバーに結成した「ふくしま古関楽団」だ

 ▼楽団は、20年五輪の開会式に参加して古関マーチを演奏することを目指している。開会まであと2年、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、式典の総合統括に狂言師の野村萬斎さんを任命するなど準備を進めている

 ▼開会式でマーチが流れれば、64年五輪の遺産が継承されるとともに、震災からの復興の道を歩む福島の姿を発信できる。実現を目指して一歩一歩、前へ前へ。