【8月12日付編集日記】名も知らぬ花

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 奥会津を旅していると、山間の通りに面した家々の庭先で色とりどりの花々に出会う。名も知らぬ野辺の花のようだが訪れる人の目を引き、車を止めて一時見とれたい気持ちにさせてくれる

 ▼厳しい過疎で県内屈指の高齢化率が常々課題視される地域だ。しかし家主たちは、少々年老いてもどっこい「まだまだ元気ですよ」と言わんばかりの丁寧さで屋敷周りを手入れしているのだろう。美術家ぞろいだ

 ▼誰に見せるのか。客人への心遣いか。はやりの外国人旅行者でないことは確かだが、もしかするとお盆に帰ってくるご先祖さまかもしれない。昔からの心掛けを守り続けた実直さが、地域の思わぬ魅力を作り出す

 ▼思えば1995(平成7)年の「ふくしま国体」の前後、県内の幹線道路沿いは、お決まりのロードフラワーで染められた。そして予算が止まり花も消えた。対して山の集落は住民らの心意気と力で今も美を保つ

 ▼浜通りの避難解除区域は、支援のヒマワリ畑などを除いて、花いっぱいの町並みに戻るまでにもう少し時間がほしいようだ。新しく移り住む仲間もほしい。家々の庭が彩られて軒先に迎え火がともる。誇らしく住まう人たちがまとまれば新しい町の夢も花開く。