【2月4日付編集日記】夜ノ森駅舎

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 日々、たくさんの人たちが行き交い、出会いや別れが繰り返される駅。利用する人たちの思い出が詰まった駅舎は、その町に欠かすことのできない風景の一つだ

 ▼富岡町のJR常磐線夜ノ森駅舎は、駅が開業した1921(大正10)年に完成した。素朴な木造平屋建ての駅舎は郷愁が漂い、待合室のベンチに座ると大正時代にタイムスリップしたような気持ちになったものだ

 ▼ホーム脇に植えられた約6千株のツツジも駅の名物だった。ツツジは第2次大戦前、殺風景な駅を彩ろうと住民たちが総出で植えた。春になると赤や紫、ピンクなど色鮮やかな花が咲き乱れ、乗降客の目を楽しませてくれた

 ▼しかし夜ノ森駅は東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定され、休業が続いている。1世紀近くにわたって町の移ろいを見守ってきた駅舎は、劣化が進んだことなどから解体工事が始まった。看板や時刻表などは、町が今後整備するアーあカイブ施設に展示するという

 ▼新しい駅舎は、常磐線が全線再開する来年3月末までの完成を目指す。昔ながらの風景がなくなることに寂しさを感じつつも、新たな駅舎がこれまで以上に多くの人たちに愛される場所となるよう再出発に期待する。