【3月18日付編集日記】相応寺のカヤ

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 寺社にある巨木を見ると心が安らぐ。長い年月をかけて育った太い幹に触れ、頭上の枝葉が風にそよぐ音を聞くと、何となく樹木から見守られているような気持ちになる

 ▼大玉村の相応(そうおう)寺の境内にあったカヤの木も、人にそのような思いを起こさせる木だったという。同寺は平安時代の初め、徳一(とくいつ)大師によって開かれたと伝えられている。火災などで現在の場所に移されたのは1560年のことで、カヤはおおむねその頃から境内に根を下ろしたとみられる

 ▼樹齢は約450年で高さは約10メートル、幹回りは約3メートルに及んだ。地域住民の心のよりどころとして愛されてきたが、樹木の内側の空洞化が進んで倒木の危険性が出てきたため、2017年11月に惜しまれながら伐採された

 ▼それから1年以上の時を経て、巨木は姿を変えて地域に帰ってきた。同寺はカヤの木を後世に残そうと、愛知県の仏師に木を使った仏像の制作を依頼していた。職人の熟練の技により、薬師如来と不動明王の2体の仏像が完成した

 ▼仏像に魂を入れる開眼法会を経て、薬師如来像は同寺の薬師堂、不動明王像は遠藤ケ滝不動尊に安置される。大玉の自然豊かな風土に育ったカヤの木は、再び生を得て地域を見守る。