【4月16日付編集日記】海岸アート

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 平安の昔から人々に親しまれていたものに絵巻物がある。横長の紙をつなぎ合わせて壮大な物語を展開していく。歴史的な出来事を題材にした作品もあれば「鳥獣人物戯画」のように現在のアニメーションのような作品もある

 ▼物語の内容もさることながら、描かれている登場人物の姿が興味深い。歴史書には記されることのない、人々の暮らしが生き生きと描かれている。このため、絵巻には歴史資料としての価値も認められている(「すぐわかる絵巻の見かた」東京美術)

 ▼南相馬市の塚原行政区の住民たちが「塚原海岸アート実行委員会」として活動を始めている。地区の塚原海岸に整備された防潮堤に、シートに描いた長さ100メートル、幅2メートルの絵画を張り出す計画だ

 ▼同行政区は、東日本大震災の津波の影響で地区の風景が一変した。作品には、住民の思い出の中にある美しい海岸線などの震災前の姿と、復興して活力に満ちあふれる行政区の将来予想図を描く予定になっている

 ▼完成は夏ごろの見通しで、実行委員会のメンバーは「ふるさとから離れている人も招き、みんなで飾りたい」と意気込んでいる。塚原行政区の過去を記録し、未来へとつなぐ現代版の絵巻になりそうだ。