【4月20日付編集日記】風流のはじめ

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 俳聖松尾芭蕉は後半生を旅に明け暮れた。平安末期の歌人西行や中国の詩人杜甫の生きざまにならったとされるが、親しく交流のあった禅僧仏頂の影響も大きかったという

 ▼仏頂は「人のためになりたい」と禅の教えを広めて各地を歩いたとされる。芭蕉は仏頂の禅への考えに加え、1カ所にとどまらない姿にも感化されたようだ(「芭蕉=二つの顔」田中善信著)

 ▼芭蕉も感慨深いのではないか。須賀川市が観光名所や学校に設置している俳句ポストには1万句前後が毎年寄せられている。芭蕉が奥の細道紀行の中でも長い8日間にわたり滞在、地元の俳人と作句を楽しんだことが今も文化として根付いている

 ▼市は7月から新たな文化交流施設の整備を始める。震災の影響で移転、縮小した芭蕉記念館の機能を継承し、芭蕉に関する資料なども展示する予定だ。市民からの「名称にも俳句のイメージを」という声を受けて、芭蕉の句から「風流のはじめ館」と名付けた

 ▼今年は芭蕉が東北を旅してから330年。市は記念の講演会や展示などを予定している。高校生による俳句の地方大会も初めて開かれる。須賀川の人々の時を経てさらに高まる俳句熱。照れ笑いする芭蕉が目に浮かぶ。