【9月16日付社説】子宮頸がんワクチン/副作用への救済充実を急げ

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 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に全身の痛みや運動障害などの重い健康被害に苦しんでいる人たちへの救済を急ぎたい。

 ワクチン接種の副作用が疑われる症例が報告されている問題で厚生労働省は、定期接種化される前の接種で副作用の治療を受けている人にも救済制度を拡大する方針を固め、近く議論する考えだ。

 厚労省によると全国で約2600人の報告があり大部分が定期接種になる前に接種した人という。

 子宮頸がんワクチンをめぐっては接種後の健康被害と接種との因果関係がはっきりせず、専門家の間でも見解が割れている。

 ただ、重症になると慢性的な痛みや手足のしびれなどで日常生活や学校活動がふだん通りにできなくなり、入院に至らなくても治療費の負担がのし掛かる。

 子宮頸がんはウイルスが原因で20~30代の若年層の発症増加が問題視されてきた。国内で2010年にワクチン接種の公費助成が始まり、定期接種化されたのは13年4月。小学6年から高校1年の女子を対象に始まったが、健康被害の報告を受け厚労省は同年6月に接種を勧めることを中断した。

 副作用の救済制度は、定期接種化の前後で中身が異なっているのが現状だ。定期接種の場合、入院と通院の両方で医療費や医療手当が支給される。定期接種化前では入院が必要な場合に限られ、通院治療の補助は対象にならない。

 厚労省は定期接種と同じ水準に引き上げる考えだが、救済を受けるには接種と副作用との因果関係が認められるか、「否定できない」と判定される必要がある。

 市町村には国とは別に医療費補償を保険で対応する措置があるが、因果関係が判明しないと保険会社が補償対象かどうかは判断しにくいという。

 会津若松市は厚労省の救済策拡大と合わせ、独自の医療費補助策を検討する方針を打ち出した。保険支払いまでの間の負担軽減などを想定するが、市は国の救済策の内容を見極めたい考えだ。

 副作用の救済が遅れてはならない。健康被害に苦しむ人たちの実態に即し適宜適切に支援を講じる必要がある。

 副作用の症例は医療機関から厚労省に直接報告され、県を通さないのが現状だ。実態の把握は県や県教委にも求められる。

 中学生や高校生の場合、学校生活への配慮と支援の充実が重要になりそのためには県や市町村と、国との連携が不可欠だ。健康被害の実態を共有し、いち早く救済の手を差し伸べることが必要だ。