【9月18日付社説】基準地価の上昇/地域経済へ効果波及させよ

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 県内の地価は上昇が続いている。土地取引が活発な表れだ。地域経済への効果を波及させたい。

 県が発表した基準地価調査結果(7月1日時点)によると、住宅地や商業地などすべての用途の平均の地価は2年連続で上昇した。

 住宅地の上昇率は、国土交通省が実施した今年1月1日時点の公示地価調査に続き全国最高となった。商業地の上昇は23年ぶりだ。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の復興需要が大きな要因だ。原発事故で避難した人たちが、避難先で住居を構える移転需要も後押ししている。

 特徴的なのが広野町だ。住宅地の地価が上がり、上昇率が市町村別で4位の高い水準を示した。市以外でトップ10に入るのは、過去10年間の調査で一度もなかった。

 同町では国道6号沿いに新たな商業施設の建設が進んでいるほか、今年4月にふたば未来学園高が開校するなど町の復興が徐々に姿を現してきた。

 併せて避難区域となっている双葉郡からの避難住民が新たな生活拠点を構える動きも出始め、住宅地の需要が高まっている。

 生活再建の動きを確かなものにし、地価の上昇を雇用の回復や所得の向上に結び付けたい。

 隣接するいわき市では、移転需要に伴う地価の上昇が衰えない。3年連続でプラスになり、調査地点別の上昇率で泉ケ丘地区が全国2位になり、上位10地点のうちの8地点を市内が占めた。

 市内では土地取引件数は減少しているものの、中心部で供給物件が少なく、比較的地価が安定していた郊外の住宅地に需要が移り始めたという。

 同市では高騰を懸念する声が上がり始めているのが気掛かりだ。宅地建物取引業の関係者によると、原発事故前は土地を買って家を建てるのに3500万円程度だった物件が、現在は4500万円程度かかるという。

 これから家を持とうとしている子育て世代にとっては、大きな負担増だ。ミニバブルのような急激な高騰に注意を払う必要がある。

 商業地の上昇は都市部が中心だ。福島、郡山、いわき、会津若松の各市では貸しビルの収益性が高まり、マンション需要も好調という。回復してきた民間の投資需要を経済の好循環につなげたい。

 都市部の上昇が県平均を押し上げている一方、町村部では住宅地、商業地とも下落傾向が続いている。観光地では風評も根強い。経済や交流人口の流れを町村部に引き寄せ、都市部との「二極化」に歯止めをかけることが肝要だ。