【9月20日付社説】安保法成立/理解と合意得る努力続けよ

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 集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法案が、参院本会議で自民、公明両党と、日本を元気にする会など野党3党の賛成で可決、成立した。民主党など野党5党は反対した。

 日本の安全保障政策の大きな転換であることを考えれば、国民のより幅広い理解と合意を得ることができなかったことが残念だ。

 中国の軍備増強と海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発、国際テロの拡散など日本の安全保障環境は急速に変化している。一方で、米国の影響力は低下し、覇権を目指す中国を抑え込むことが困難になりつつある。

 外交と防衛は車の両輪であり、互いに補完する関係にある。あらゆる手段を尽くして平和外交を展開しつつ、万一の危機に備える防衛体制を整えることが必要だ。

 関連法は、日本有事や周辺有事への対応、そして国際協力まで、安全保障政策に関わる課題を総合的に点検・検証し、さまざまな危機に対して、迅速かつ的確に対応できるような内容だ。

 しかし、共同通信の8月の世論調査では、安全保障関連法案の今国会成立に賛成29%、反対62%という結果であり、有権者の理解が進んだとは言えない。

 憲法学者の「違憲」発言や、首相補佐官の「(法案の)法的安定性は関係ない」発言、さらには野党第1党である民主党が、法案を「戦争法案」と断じたことなどが影響しているものとみられる。

 参院特別委での審議は、地方公聴会終了時点で約100時間に上った。衆院特別委と合わせれば約216時間となり、記録が残っている戦後の安全保障法制では過去最長の審議時間となった。

 しかし政府の答弁には不明瞭な点が残り、政府と野党の論戦もかみ合わなかった。変化する安全保障環境に日本はどう対応し、安全を確保するか。参院でこそ安全保障政策全体を見渡した冷静で建設的な議論を深めてほしかった。

 与党は、野党3党と、自衛隊を海外派遣する際の歯止め策として国会関与を担保する閣議決定を行うことなどで合意した。

 ただしそれでも、政府の裁量次第ではないのか、紛争に巻き込まれる恐れはないのかなど、法案に反対する人々の懸念を払拭(ふっしょく)できるものではない。「歯止め」の在り方などについて引き続き国会で詳細な議論を尽くすべきだ。

 政府は、日本の平和と安全を確保するという目的を実現するための法制であることを再認識し、関連法の適正な運用と、国民的な合意形成に努めなければならない。