【9月24日付社説】地方創生戦略/大胆な発想と手法駆使せよ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 若い世代が家庭を持ち、働き続けることができる、そんな地域にしたい。地方が抱く人口減少対策の目標は、はっきりしている。それに国はどう応じるかが、「地方創生」の行方を左右する。

 人口減少克服に向けた地方創生を進めるために国は、本年度末までに全国の地方自治体に「地方版総合戦略」の策定を求めている。 戦略は5カ年計画で地域ごとの「処方箋」を自治体自らが示すものだ。本紙が県内59の全市町村長にアンケートした結果、戦略の策定に際し重視する施策のトップは「子育て環境の充実」だった。

 次いで「企業誘致や新産業創出」「観光や地場産業の振興」と続いた。結果をみると、子育て世代を地域に定着させるための福祉や経済対策の充実が、地方創生の鍵を握ると読み取れよう。

 ただ、市町村長が重視する施策の重要性はいまになって指摘され始めた課題ではない。地方は戦後の高度成長期から東京一極集中のあおりを受けてきた。人口減少に伴う地方消滅の危機が現実味を帯び始める以前から地方自治体が取り組んできた政策課題だ。

 地方の処方箋に限界があることは、若い世代の流出に歯止めがかからないことからも明らかだ。国はこれまでにない大胆な発想と手法で地方創生に臨む必要がある。

 アンケートでは、東京一極集中の是正策として政府機関や民間企業の本社機能、大学の地方分散を国の主導で進めるよう求める意見が数多く出された。国は積極的に実現を目指す必要がある。

 地方版総合戦略の策定では、地域の実情に沿った処方箋を示すと同時に、戦略を進めるに当たって地域の自主性や主体性を発揮することが求められる。

 地方自治体も知恵を絞ることが重要になるが、規模の小さい町村では人的にも予算的にも戦略の策定自体が負担になっている。

 自前で策定するのは19市町村にとどまり、民間の調査機関などに発注するところもある。地域の独自性を反映させるためには、国や県に、必要な支援や調整が求められるのが現状だ。

 人口減少は地方共通の課題だけにアンケートで示された「狭い地域で人の奪い合いを続けると、財政的に互いに疲弊する」との首長の声にも耳を傾ける必要がある。

 アンケートでは、地方創生に取り組む自治体に国が配分する新型交付金について、7割の首長が「予算規模が不十分」と回答した。国は地方のやる気や、国を挙げて地方を元気にしようという機運をしぼませてはならない。