【9月26日付社説】規制委発足3年/着実な廃炉へ役割全うせよ

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 事故を起こした東京電力福島第1原発の廃炉が着実かつ円滑に進むことが、本県復興の大前提だ。

 発足から丸3年が過ぎた原子力規制委員会はこのことをあらためて自覚し、廃炉の安全確保に向けた取り組みを緩めてはならない。

 田中俊一委員長(福島市出身)は先の定例会見で発足3年の所感を聞かれ「福島第1原発の廃止措置をきちっとやっていくということがまず大きな課題」と答えた。

 国内の原発の安全規制審査を担う規制委にとって、福島第1原発の廃炉が最重要課題であるとの認識を示したといえよう。

 廃炉は高線量下での作業だ。汚染水が海に漏れ出したり、放射性物質が外部に拡散するリスクもつきまとう。地震や津波などの災害への備えも重要だ。

 規制委は東電にリスクの洗い出しと解消を求めてきた。政府と東電が今年6月の廃炉工程表の改定で「リスク低減」を重視する方針を打ち出したのは当然だ。

 それまでの廃炉作業ではスピードを重視するあまり、汚染水漏えいなどのトラブルや人身事故が相次ぎ、かえって工程の遅れを招いてきた。

 規制委には、リスクの低減が着実な作業につながるよう工程の進行管理を監視する必要がある。

 事故から4年半がたち、汚染水対策が本格化してきた。原子炉建屋周辺の井戸(サブドレン)からくみ上げた汚染地下水を浄化し、海に放出する「サブドレン計画」が今月から始まった。

 「地下水バイパス計画」「凍土遮水壁」に続き、地下水が流れ込んで汚染水が増えるのを防ぐための抜本策とされるが、県内の漁業者には風評の不安がつきまとう。

 大雨のたびに建屋周辺に降った雨水が放射性物質を含んで海に流れ出している問題にも漁業者の懸念が募る。政府と東電とともに規制委も、汚染水対策への不安解消に努めることが重要だ。

 原発周辺の地域では、住民帰還の動きが具体化してくる。これまで以上に廃炉作業の安全確保が求められるのはいうまでもない。

 廃炉に向けては、使用済み燃料の取り出しや、原子炉内で溶け落ちた燃料回収といった難題が待ち受ける。原発に向けられる住民の不安をなくすことが規制委の重大な使命だと、肝に銘じたい。

 規制委は原発事故を教訓に、省庁や電力業界からの独立性を掲げて発足した。厳格な安全規制と福島第1原発の廃炉を成し遂げるためには、組織の強化と専門性の高い人材確保にも力を入れなければならない。