【9月29日付社説】臨床研修医/確保と定着へ独自策充実を

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 県内の医師不足解消に向けて、医師を志す若者や研修医の希望に応える施策を充実させたい。

 日本医師会などでつくる医師臨床研修マッチング協議会の中間報告によると、県内の病院を「第1希望」として、来年度からの卒後臨床研修先に選んだ学生は90人で、現在の研修制度が導入された2004(平成16)年度以降で最多となった。

 ただ、募集定員に対する充足率は6割弱にとどまり、募集定員と希望者数には大きな隔たりがある。本県を研修先として選び、研修後も県内の病院に残って医師として勤めてもらうことができる環境づくりを進めることが重要だ。

 卒後臨床研修は、医学生らに大学卒業後2年間、研修を義務付ける制度で、県内では18の大学病院と研修指定病院が受け入れ先になっている。

 病院ごとにみると、南相馬市立総合病院に定員の1.5倍の希望があるなど7病院が募集定員を上回るか同数だったが、11病院は定員に満たなかった。今後、10月下旬の内定に向けて調整が行われる。一人でも多くの医学生が、県内の病院で臨床研修を受けることになるよう望みたい。

 県内の医師不足は東日本大震災と原発事故で悪化した。国の12年12月時点での調査によると、県内の医師数は人口10万人当たり178.7人で全国44位。全国平均の226.5人に達するには約940人の医師が必要となる計算だ。

 臨床研修では例年、研修後3分の2程度の医師が県内にとどまるとされる。研修医の受け入れは、医師の確保に直結する大切な一歩となることを再認識して受け入れに全力を挙げるべきだ。

 県は、県内の病院での臨床研修を促進するために、年内をめどに、臨床研修18病院の特色を組み合わせた研修モデルをつくり医学生に提示する考えだ。

 これまで研修医は、一つの病院で専門的な指導を受ける場合が多かった。新たな取り組みは、身近な医療と高度医療、あるいは都市部と町村部での医療など、研修期間中に複数の病院で研さんを積むことが想定されている。

 県内の医療は、地域間、病院間、さらには診療科目間で偏在や格差が課題として横たわる。本県独自の施策を数多く打ち出すことで研修医を確保し、地域医療の再生へとつなげたい。

 それには、医師の確保という本県側の事情とは別に、研修医自らが医師として腕を磨き、成長していくことができる魅力ある環境を整えることも欠かせない。