【10月1日付社説】地方創生シンポ/地域の総力結集し先導役に

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 人口減少が進めば自治体が消滅してしまうという漠然とした不安を、差し迫った危機と捉え、地方創生への確かな歩みを刻みたい。

 地方創生が目指すのは若い世代が安心して出産し、子育てを続けられる地域をつくり出すことだ。

 そのためには、若者の流出や出生数の減少がどの程度のスピードで進むのか、といった将来の人口推移のデータを冷静に捉え、進み具合を抑えることを考えていかなければならない。

 人口減少の危機に警鐘を鳴らした日本創成会議の増田寛也座長はきのうの本紙創刊120周年記念「地方創生」シンポジウムの基調講演で、こう指摘した。

 人口減少は地方自治体にとっては古くて新しい問題だ。過疎や少子高齢化対策は今に始まったことではない。それにもかかわらず人口減少に歯止めがかからない。首長には地方創生といって妙案はあるのか、東京一極集中は是正できるのかという懸念があるだろう。

 増田氏の指摘は人口の推移を表すデータを把握し、危機的な状況になると分かれば、それを避けるための目標と方策を打ち出せるとの示唆と受け止めたい。

 地方創生で政府が地方自治体に求めている総合戦略と人口ビジョンの策定作業がピークを迎える。ビジョンで人口の減り方を甘めに見るか、厳しめに見るかで戦略の中身が変わる。データを基に課題を整理することが重要だ。

 人口減少対策の鍵を握るのは、若い世代の働く場の確保だ。安定した雇用と働きながら子育てができる環境をつくり出すことは、地域の活力にもつながる。

 増田氏に加え内堀雅雄知事、福島大の開沼博特任研究員が参加したシンポジウム後半のパネルディスカッションを参考にしたい。

 内堀知事は震災と原発事故からの復興こそが地方創生につながる、地方創生のトップランナーになるとの意気込みを示した。

 その上で県の復興政策の柱であるロボットや医療機器産業に地元の中小企業が関わる施策や、農業の6次化を支える施策で若者の仕事を生み出す考えを披露した。

 増田氏も本県には復興に伴う技術革新を、震災前からある地域産業の「地力」に積み重ねる可能性があるとの見方だ。

 開沼氏は大学の役割について、都会に目が向きがちな学生に地域づくりに関わる大切さや楽しさを教えていく大切さを説いた。

 シンポジウムは地方の将来を考えるきっかけの一つだ。地方創生を成し遂げるには、地域の総力を注ぐことが肝要になる。