【10月2日付社説】川内村避難解除1年/帰還後の生活再建急ぎたい

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 川内村の東部で東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が一部解除され、1年が過ぎた。

 この間、帰還住民の暮らしを立て直すために何ができて、何ができていないのかは、村だけの問題ではない。国と県も原子力災害からの復興を軌道に乗せるための課題を受け止め、必要な手だてを講じていく必要がある。

 解除区域に戻った住民は2割に満たない。村の東部は、買い物や仕事の面で隣の富岡町や大熊町と生活圏が重なっていたが、両町は避難区域になったままだ。

 生活の不便さが村の東部に根強く残っているのが、住民帰還が進まない一因という。

 村では年明け以降に公設商業施設の営業が始まる予定だ。今年6月には復興公営住宅が完成し、雇用の場として期待される工業団地の計画もある。

 県道の整備も取り組まれている。住民の帰還に結び付けようという事業が形を表し始めており、生活環境の再建が急がれる。

 7月には、放射線への理解を深めるためのリスクコミュニケーションに関する研究機関が村内に開設された。村が長崎大などと連携した復興支援拠点との位置付けだ。住民の帰還をためらわせる放射線への不安解消につなげたい。

 村に戻った住民の中には、山あいの畑で農作業を再開した人たちもいる。ただ、若い世代の帰還は少ないのが現状のようだ。

 すでに避難指示が解除された地域でも、解除が予定される地域でも、帰還を望む住民の多くが高齢者というのは、共通する特徴だ。

 帰還住民の生活再建を進めるに当たり、若い世代の帰還を促すための環境整備は重要だ。同時に、帰還する高齢者の暮らしをどのように支えていくかといった視点も必要になる。

 県の調査によると、村の高齢化率は今年8月1日現在で38.8%になり、避難指示が出された県内12市町村の中で最も高くなった。前年比1.2ポイントの上昇で、県平均の上昇幅(0.8ポイント)を上回る。

 原発事故が高齢化を加速させた側面があることは否めない。復興と同時進行の課題に対し、村や県の取り組みも重要になるが、地方創生を掲げる国は、避難指示を出した地域の人口対策に責任を持つことを忘れてはならない。

 村東部には、避難指示が続いている地区が残っている。村は今後、避難指示の解除を判断するための準備宿泊をいつ始めるかの検討を本格化させたい考えだ。村全体で住民の生活再建に向かうことが望まれる。