【10月14日付社説】震災関連の自殺/多面的に体制整え歯止めを

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 東日本大震災と原発事故に関連する自殺に一刻も早く歯止めをかけなければならない。

内閣府によると、震災関連の今年の県内の自殺者は8月末現在で13人に上る。同じ震災被災県である宮城県の1人、岩手県の2人を大きく上回り、原発事故による避難者が最も多かった2012年の1年間の自殺者数と同数で、昨年の15人に迫る。

 この状況について関係者は「避難生活の長期化によるストレスなど原発事故の影響が浮き彫りになっている」と指摘する。震災から4年7カ月が過ぎてなお、震災関連の自殺に歯止めがかからない状況を重く受け止め、対策を強化しなければならない。

 県内の震災関連の自殺者数は、11年6~12月の間に10人が確認されて以降、12年に13人、13年に23人と2年連続で増加した。14年は15人まで減り、いったん歯止めがかかったようにみえたが、今年は8月末までで昨年同期の10人を3人上回る状況となっている。

 県内では、自殺の未然防止に向けて、生活支援相談員が仮設住宅などを訪問し、避難者を見守る活動を続けている。しかし、仮設住宅から復興公営住宅などへの転居が進み、新たなコミュニティーづくりが必要になるなど、時間の経過や環境の変化とともに避難者が抱える悩みは多様化している。

 このため県は、見守り体制の強化策として、避難者の身近な存在である地域のかかりつけ医らを対象に精神科の研修会を開く。うつやアルコール依存などの兆候を初期段階で発見したり、自殺の危険性が高い患者への対応法などの知識を共有してもらう考えだ。

 避難者は、避難生活の長期化とともに、家族やコミュニティーの分断などからストレスや不安、焦りといった精神的なダメージの増加が心配されている。避難者の心理状態をこまめに把握し助言するなど心のケアを行う体制を、より広範に整えていく必要がある。

 国の自殺対策はこれまで内閣府が担当してきたが、来年度から厚生労働省に移管されることになった。内閣官房と内閣府の業務を見直してスリム化を図る関連法が先の国会で成立したためだ。

 厚労省は内閣府に比べ職員や予算、権限を持っているため、きめ細かな対応が期待される。しかし自殺対策は、各省庁が連携して行う必要があるため、内閣府に総合調整機能役を担わせてきた経緯がある。震災関連の自殺対策は特に横の連携が欠かせない。縦割り行政に陥ることなく総合的な自殺対策が講じられるよう求めたい。