【10月16日付社説】改正労働者派遣法/安定した雇用へ点検怠るな

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 派遣労働者の待遇改善と安定的な雇用の確保につなげられるかどうかが肝心だ。

 「改正労働者派遣法」が施行された。企業の派遣労働者受け入れ期間の制限をなくすことが柱で、派遣会社に対しては雇用安定措置を義務付けた。

 これまで派遣労働は、秘書やソフトウエア開発など26の「専門業務」を除き、「一般業務」は最長3年というルールがあったが、改正法では業務区分を撤廃した。

 これにより企業側は労働組合の意見を聞けば、人を入れ替えながら同じ職場で無制限で派遣を雇い続けることができる。一方、個々の労働者は同じ職場で働ける期間が最長3年に制限された。

 企業にとっては従来に比べて派遣労働者を雇いやすくなったことは間違いない。これに対して働く側には派遣労働の固定化や雇い止めの続出を懸念する見方がある。政府は、派遣労働の実態を常に点検しながら、必要に応じて対策を講じていく必要がある。

 なかでも懸念されているのが、派遣労働者の4割強を占めていた専門業務に関わる問題だ。専門業務は同じ職場でずっと働き続けることができたが、今後は3年過ぎると、雇い止めで職を失う恐れがある。最大約40万人が失業するとの厳しい見方も出ている。

 改正法では、派遣労働者を保護する仕組みとして、雇用安定措置が盛り込まれた。派遣会社には、同じ職場での勤務が3年に達した労働者について、〈1〉派遣先企業に直接雇用を依頼〈2〉別の派遣先を紹介〈3〉派遣会社自らが無期雇用―することなどを義務付けた。

 さらに一部で認めていた派遣会社の届け出制を廃止し、全て許可制にした。計画的な教育訓練の実施など派遣労働者の技能向上の支援も求め、怠った場合は許可を取り消すこともできる。派遣会社の責任を強化したのは評価できるが実効性を確保できるかどうか、指導監督に当たる厚生労働省の力量が問われる。

 派遣制度は、産業構造の変化や多様な働き方に対応するため専門性の高い業務に限定し臨時的・一時的な働き方としてスタート。その後、対象業務が広がり、2004年に製造業務が解禁されたことで急増した。厚労省の統計によると、全国の派遣労働者は14年6月時点で約126万人、このうち県内は1万2500人余となっている。

 「派遣を選ぶ人には待遇を改善し、正社員を望む人にはその道を開く」。政府は、改正に当たって繰り返して述べた約束を守らなければならない。