【10月20日付社説】安倍首相訪問/復興拠点整備全力で支えよ

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 「新たな町をつくっていくという皆さんの意欲に沿いながら、しっかりと支援していきたい」

 東京電力福島第1原発事故によって全町避難が続く大熊町をきのう訪れた安倍晋三首相は、町の復興拠点整備が計画されている大川原地区を視察し、渡辺利綱町長ら町の関係者にこう語った。

 復興拠点の整備は町にとって町民の生活環境を新たにつくり出す取り組みだ。安倍首相は自らの言葉を「誓い」と自覚してほしい。

 第1原発のある大熊町は全域で避難指示が続く。原発事故前には町民の約95%が住んでいた地域が帰還困難区域に指定され、町民の帰還見通しが立たないままだ。

 こうした厳しい状況にある中で町は、町内の居住制限区域で比較的放射線量が低い大川原地区に、新たに住宅地をつくるほか町役場などの公共施設や商業施設、除染や廃炉の研究機関などを集約し、復興拠点として整備する考えだ。

 町は復興計画で、町外で避難を続けている町民の「生活支援」と「町土復興」を掲げる。復興拠点整備は「町土復興」の柱だ。

 復興拠点整備に向けては国の支援制度を受け農地転用などの手続きや用地交渉が動きだした。今後具体的な整備事業が本格化する。

 町は拠点整備の加速や町民が帰還できる環境づくりにつなげる狙いで、来年春に役場機能の一部を町内で再開させる。

 2018年度までに「住める環境」を整え町民が将来、帰町を選択できる状況をつくるという。

 国は、いつかは古里へ戻りたいと願う町民の帰還の足掛かりとして整備が円滑に進むよう支援の手を緩めないことが求められる。

 大川原地区では、第1原発の作業員向けの給食センターが稼働しているほか、東電の社宅の建設が進められている。

 復興拠点は帰還する町民と廃炉や研究に携わる人たちが共に生活するまちづくりを目指す。国は町の新たなコミュニティーづくりにどのように関わるのかも復興の課題と受け止める必要がある。

 復興拠点を核としたまちづくりは、避難指示が出された市町村共通の課題だが、それぞれが目指す姿はさまざまだ。

 安倍首相は大熊町訪問後、9月5日に避難指示が解除された楢葉町も訪れ住民らと意見交換した。

 避難指示解除地域にとっても、復興拠点が帰還する住民の生活や事業再建を後押しするために重要な役割を果たす。

 首相はそのことを肝に銘じ、避難区域の復興再生に力を傾注していくべきだ。