【10月21日付社説】マンション傾斜問題/早急に全容解明し対応策を

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 うちのマンションは大丈夫なのだろうか。そんな不安が全国に広がっている。

 横浜市で築10年にもならない大型マンションが傾き、調べたところ、基礎工事で打ち込んだくいの一部が強固な地盤まで届いていなかった。それが届いたかのように検査データは改ざんされ、くいの先端を固めるのに使うセメントの量も改ざんされていたという。

 建物の基礎工事をおろそかにすれば、いずれ不具合が生じるのは避けようもない。それは、住民の安全や安心に関わってくる。大量のくいを使うから、少しくらいなら固い地盤に届いていなくても問題はないとでも思ったのだろうか。徹底究明してもらいたい。

 このマンションは全4棟計705戸。傾いたのは1棟だが、販売した三井不動産レジデンシャルは、他の3棟も含めて建て替えを前提に協議する方針を住民に示している。施工主の三井住友建設や、くい打ち工事をした下請けの旭化成建材による説明会も行われ、週明けから地盤調査が始まった。

 旭化成建材がくい打ちをしたマンションや商業施設は全国に約3千棟あり、親会社の旭化成は近く所在地などを公表するが、混乱も予想される。目に見えない部分の不正を行政や業者がいかにチェックするか。再発防止に向けて、早急に手を打つ必要がある。

 問題のマンションでは昨年11月下旬、住民が「手すりのずれ」に気付いた。指摘を受けた三井不動産レジデンシャルは今年2月に簡易調査を実施。7月、その結果を住民らに報告した。

 データの改ざんは「想定外」だったと業者側は説明。全棟建て替えを前提に、仮住まいの費用負担や部屋の買い取りなどの補償にも対応するとしている。しかし当初は「東日本大震災の影響の可能性」と説明を受けていたこともあり、住民側の不信は根強い。

 改ざんの背景などの解明、地盤調査の結果と安全確保策の公表は急を要する。そして、今回のような不正をどうチェックするかを考えなければならない。

 10年前、建物の構造計算書を偽造し、地震で倒壊の恐れがあるマンションなどが販売されるという耐震強度偽装事件があった。事件後、事前のチェックを強める仕組みが整えられ、耐震偽装を防ぐために罰則も強化された。

 しかし不正はまた起きた。頻繁に現場の作業に立ち会う、または建設途中の中間検査を強化するなどの対策が考えられるだろう。それを行政と業者でどう分担するかも含めて検討を急ぐべきだ。