【10月28日付社説】海側遮水壁が完成/対策積み上げ汚染水封じよ

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 東京電力福島第1原発事故から4年7カ月がたち、同原発で汚染された地下水の海洋流出を防ぐ対策がようやく本格化する。

 事故から1年後の2012(平成24)年4月に工事が始まった「海側遮水壁」が完成した。

 原発港湾内に長さ20~30メートルの鋼管594本を垂直に打ち込んで並べ、鋼管の間の接合部にモルタルを流し込んで造った壁だ。

 護岸に沿って約780メートルにわたる。東電は海への地下水の流れをせき止める効果を見込み、1日当たり約400トンある流出量を約10トンにまで減らせるとしている。

 海洋汚染のリスクを下げるための重要な施設だ。確実に流出を抑えなければならない。

 海側遮水壁の本格運用では、壁でせき止める地下水が、地上にあふれ出ないようにする対策と併せて効果を上げることになる。

 その対策が原子炉建屋周辺の井戸(サブドレン)などから汚染地下水をくみ上げ、浄化後に海に放出する「サブドレン計画」だ。

 同計画によって、原発敷地内の地下水の水位を安定的に調整しなければならない。

 海側遮水壁は当初、昨年9月の運用が見込まれていた。それから1年もずれ込んだのは、サブドレン計画が後手に回ったためだ。

 その要因は、東電がトラブルを公表していなかったことが発覚するなど、東電の情報公開の姿勢に問題があったからだ。

 今年9月になって計画が動きだし、海側遮水壁の運用も可能になった。東電は信頼を失う事態を二度と引き起こしてはならない。

 第1原発の汚染水対策では、原発敷地に流れ込む地下水の量を減らす「地下水バイパス計画」が実施されている。

 今後の焦点は、建屋を囲むように地中を凍らせて壁を造る「凍土遮水壁」の成否に移る。本格凍結には原子力規制委員会の認可が必要になるが、求められているのはやはり水位の安定管理だ。

 地下水の動きを確実にコントロールするためには、政府も積極的に関与を強めることが重要だ。

 東電は海側遮水壁の完成によって、汚染水対策が前進したとしている。ただ、大雨のたびに敷地内の排水路から汚染雨水が外洋に流れ出る事態が相次いでいる。

 多核種除去設備(ALPS)では取り除けないトリチウムを含む水の保管も限界に近づいている。

 溶け落ちた核燃料を取り出す廃炉作業の大前提になる上、風評をぬぐい去るためにもオールジャパンの体制で汚染水対策の成果を着実に積み重ねていく必要がある。