【10月29日付社説】いじめ過去最多/正確に実態捉え適切対応を

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 学校からいじめをなくすためにはまず、子どもたちの変化を見逃さないことが大切だ。

 全国の小中高校がいったん文部科学省に報告した2014年度のいじめの件数が、「軽微で短期間のトラブル」も含めるよう文科省から再検討を求められた結果、当初の集計よりも大幅に増加した。

 全国の件数は約18万8千件で約3万件上回った。本県の件数を詳しくみると公立学校は当初の4.3倍に膨らみ854件となった。

 私立などを含めた全体では過去最多の882件に上った。前年度の258件の3.4倍に急増したことになる。

 どこまでをいじめと捉えるか、といった文科省と学校現場との認識の隔たりが、数字になって表れたともとれる結果だ。

 ただ、これほど数字の変動が大きいと、いじめの実態を正確に把握したものなのかといった印象が拭えない。

 いじめの件数は、文科省が毎年度実施している問題行動調査の一つとして都道府県教委や学校の報告を受けて公表している。

 14年度分については今年6月末に集計を締め切ったが、7月に起きた岩手県矢巾町の中2男子生徒の自殺を受け、文科省は8月になって再集計を通知した。

 自殺した男子生徒はいじめを苦にしたとみられ、文科省は学校がいじめと捉えずに組織的な対応をしなかったとして、通知では「ごく短期間に解消したいじめも漏れなく計上する」ことを求めた。

 文科省の通知を受け、「授業中に鉛筆を貸してほしいと頼んだら無視された」といった、学校側が軽微と捉えてきたケースを再集計分に含めた例もあるという。

 県教委は再集計に当たり「初期段階のものを積極的にいじめと捉えるよう意識した」としている。

 いじめを広く捉えることで、深刻になる前にその芽を早い段階から摘むことは大切だ。

 ただ、子どもたち同士の人間関係のトラブルはどこの学校でも起こるものといえよう。文科省は「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」などといじめを定義しているが、学校現場では、線引きが難しいのが現状だろう。

 重要なのは、集計に入れるかどうかの基準に線を引くことではなく、子どもたちの中でいじめの芽が放置されないことだ。

 そのための情報共有を文科省と学校現場が密にしていく必要がある。近年、スマホなどの普及によりいじめが見えづらくなったとの指摘もある。子どもの日常に目を向け続けたい。