【10月30日付社説】環境創造センター/「美しい福島」再生に貢献を

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 より多くの英知を結集して、環境の回復を急ぎ、子どもたちに「美しい福島」を手渡したい。

 放射性物質に関する研究や情報発信の拠点として、県が三春町に整備していた「環境創造センター」の本館が開所し、業務が本格的に始動した。

 センターは、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染された県内の環境回復に取り組むための調査研究や情報発信、教育を行う拠点施設として整備が進められている。

 本館の隣には研究棟と交流棟が建設中で、研究棟は来年4月、交流棟も来年度中に開所する見通しだ。さらに南相馬市に整備中の環境放射線センターは11月16日に、猪苗代町と大玉村の付属施設も来年度中に開所する予定になっている。「原発事故前の環境に回復させる」という目標に向かって、確実に成果を挙げるよう求めたい。

 センターを構成するのは、県と日本原子力研究開発機構(JAEA)、国立環境研究所の3者。JAEAは原子力に関する総合的な研究機関、環境研究所は環境に関する中核的研究機関としての実績がある。3者が連携を密にして調査研究を進め、放射線の影響からの回復と県土の再生に全力を尽くしてもらいたい。

 センターが行う調査研究は、放射線計測から除染・廃棄物に関わる技術開発、環境の回復まで多岐にわたる。3者の得意分野を生かして役割を分担し、効率、効果的な研究体制を構築すべきだ。

 本県の環境回復は喫緊の課題だ。3者間にとどまることなく、県内外の大学や企業、研究機関との情報交換や共同研究にも積極的に取り組み、調査研究の加速化を図ることが重要だ。

 開発された技術や研究の成果は県内で活用されるだけでなく、他県における原子力災害への対応や環境保全対策として応用できるものとなる。質・量ともに十分な成果を生み出すためにも長期安定的な予算措置を政府には求めたい。

 三春町につくる交流棟は、子どもたちに対して放射線や環境についての教育も担う。センターでは県内の小学高学年生らが社会科見学などで来館できるようにする方針だ。いまから教育プログラムの中身を煮詰め、正しい知識をしっかり学ぶことができるよう工夫を凝らしてもらいたい。

 センターの活動は本館からまずスタートしたが、業務内容は専門的で難しい。県民の理解促進を図りながら、信頼される研究、分かりやすい情報発信の拠点を目指すことが肝要だ。