【11月1日付社説】県立図書館700万人/「知の拠点」充実への契機に

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 県立図書館が1984(昭和59)年に福島市森合の現在地に移転してからの入館者が700万人を超えた。県民の「知の拠点」として機能強化を図りたい。
 同図書館は東日本大震災で大きな被害を受けたが、4カ月後の部分開館を経て、2012年7月に全館が復旧した。

 震災対応では、移動図書館を使って仮設住宅を巡り、避難者の支援に取り組む傍ら、震災や東京電力福島第1原発事故に関する図書や資料の収集に取り組んできた。

 館内に設けた「東日本大震災復興ライブラリー」には関連図書など資料約8000タイトルが並ぶ。未曽有の複合災害の記録や教訓を後世に伝えるために収集を続けてもらいたい。県民だけでなく、将来の災害に備える全国の人々にとって貴重な資料となるはずだ。

 700万人の大台を達成した同館だが、気になるのは入館者数が落ち込んでいることだ。震災前の2010年度は約23万人が利用したが、12~14年度は17万人前後で推移している。

 福島や郡山、いわき市立図書館も震災後は利用者が減少しているという。震災の影響で図書館を利用する余裕を市民が失っているのではないか―とみる関係者もいるがはっきりは分からない。県民や市民アンケートを行うなどして分析、情報を共有し、運営に生かすことを検討してほしい。

 全国各地で新しい図書館の在り方を探る動きが広がっている。資料のデジタル化もその一つだ。郷土史や県関係者の著作など地域資料は県民の大きな財産といえる。

 県立図書館も古地図や錦絵などのデジタル化に取り組んでおり、順次ホームページで公開しているが、保存すべき資料は膨大だ。劣化を防ぎ、より利用しやすくするために資料のデジタル化を加速させたい。震災関連資料のデジタル化も検討すべきだ。

 県立図書館は「新アクションプラン」(13~17年度)の柱の一つに『図書館の図書館』として図書館の振興を図る」を掲げるが、2000年度に6千万円近くあった資料購入費は次第に減少し、14年度は3000万円弱となった。

 これで県立図書館としての機能を十分果たしていくことができるのか。県民の暮らしや仕事を支える知的インフラとしての図書館の役割をあらためて認識し、必要な予算を確保するよう求めたい。

 9日まで「読書週間」が続く。数ある図書館の中で、「敷居が高い」とみられがちな県立図書館だが雑誌や新聞もある。遠のいていた足を向けてみるのもいい。