【11月3日付社説】避難区域の将来像/実現への道筋を明確に示せ

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の将来を見通すためには、何をいつまでに復興・再生させるかを明確に示す必要がある。

 復興庁と県は来年6月までに、原発事故で避難指示が出された12市町村の「将来像」の実現に向けた工程表を策定する方針だ。

 復興庁と県に、避難区域の市町村を交えた将来像構想の検証・推進組織「フォローアップ会議」が先週初会合を開き、工程表策定への協議を始めた。

 将来像が30~40年後の避難区域の姿を描いているのに対し工程表は2020(平成32)年までの計画になる。

 17年3月までに帰還困難区域を除いて避難指示が解除されるのを考えれば、住民帰還を見据えた課題に対し、実効性のある道筋を示すことが重要だ。

 将来像は復興庁の有識者検討会によって今年7月にまとめられ、同検討会が政府に提言した避難地域の復興構想だ。

 ロボット産業の集積や再生可能エネルギーの導入で新産業を創出し、農業などの旧来の産業の再生と高付加価値化による魅力ある産業基盤を築く―とされている。

 このほか、12市町村ごとに整備する復興拠点を核として医療や教育、交通などの各分野の公共サービスで市町村の広域連携を進める方針も盛り込まれた。

 将来像が掲げた新産業の創出では、廃炉や災害対応ロボットの研究開発拠点を整備する国の「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」が動きだした。

 ただ、世界で最先端の産業・研究を支える人材育成にもつなげる構想になり、拠点を中心に新産業として地域に根付かせるには長期的な取り組みが求められる。

 一方で帰還する住民の生活に直結するような医療・介護体制や交通インフラの再生、風評対策などを短・中期的な課題と位置付け、実現の方向性を示す必要がある。

 既に避難指示が解除された地域で住民の帰還が進まない背景に、こうした生活に直結する課題の解消の遅れがあることも認識しなければならない。

 住民が帰還を選択するためにも、工程表の策定では早急に手を打つ必要がある事業を洗い出し、達成時期を明示することが重要になる。国は財源の確保に責務を負うことも忘れてはならない。

 国や県は、工程表を各地域の復興の進み具合に沿った復興事業の進行管理や検証に生かし、着実に将来像構想の実現につなげることが重要になる。