【11月8日付社説】芸術に親しむ季節/鑑賞や創作通し心に潤いを

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 街路樹が紅葉に彩られる季節、ふと芸術に触れたくなる。県内の美術館ではいま、海外や本県ゆかりの芸術家の作品を紹介する見応えある展示会が開かれている。心を豊かにする作品と出会いたい。


 海外の名作を展示し、話題を呼んでいるのは喜多方市美術館だ。フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンによるブロンズ像「ある小さき影」などが並ぶ。西洋近代美術のコレクションで知られる大原美術館(岡山県)が、復興支援の一環として貸し出した作品で、県内で鑑賞できる貴重な機会だ。ロダンの作品は小さくても、強い存在感を放つ。この機を捉え、ロダン独特の作品世界に浸りたい。


 会場には、市内で見つかった、ロダン作の可能性がある「鼻のつぶれた男」も展示している。今後、鑑定の結果を待たなければならないが、何ともロマンがある。


 郡山市立美術館は、同市出身の彫刻家三木宗策氏の没後70年を記念した企画展を催している。大正から戦前にかけて優れた木彫を制作、国内の彫刻界をリードした同氏の作品を一堂に集めた展示会は初めて。格調ある仏像や、神話を主題にした作品の数々から、深い感動を得ることができるだろう。偉大な彫刻家を生んだ本県の文化的な風土を見直す機会にもなる。


 気軽に芸術に触れ合うことができるイベントもある。いわき駅周辺を美術館に見立てた「アートフェスティバル 玄玄天」もその一つ。同市ゆかりの芸術家や市民が共同制作したオブジェや彫刻、絵などを商業ビルや飲食店など9カ所に展示している。作品を探して街なかを巡れば、地域の新たな魅力も発見できるだろう。


 福島市の県立美術館は改修のため休館中だが、所蔵品展が巡回している。現在は須賀川市立博物館で、モネや岸田劉生らの作品を陳列している。来年1月からは二本松市でも開催を予定する。普段、県立美術館を訪れることができない人にとって、国内外の名作を間近に鑑賞できるチャンスだ。


 芸術は鑑賞するだけでなく、自ら作品を制作するという楽しみもある。近くの公民館や学習センターなどには、絵画や生け花などさまざまなジャンルの教室やサークルがあるはずだ。参加すれば、新しい仲間や、生きがいをつくるきっかけにもなる。


 仕事や家事、勉強など日々の暮らしは忙しいが、遠くに出掛けなくても、写真を撮ったり、器一つにこだわることなどで、芸術の間口を広げることができる。芸術に親しみ、楽しむことで、心に潤いを保っていきたい。