【11月12日付社説】復興相の資質/一日たりとも停滞許されぬ 

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 一日たりとも、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を滞らせてはならない。

 担当大臣たる者がそれをできないのであれば、いち早くそのポストから降りてもらうしかない。

 先月7日の内閣改造で就任した高木毅復興相のことだ。選挙区で香典を支出した問題と女性の下着を盗んだとの一部週刊誌報道をめぐる弁解に追われている姿を見せられるとは、何とも心もとない。

 10、11の両日に衆参両院で行われた予算委員会の閉会中審査で復興相への質疑は、高木氏個人をめぐる問題に終始した。

 閉会中審査は第3次安倍改造内閣発足後、初めての国会審議だった。新たに復興相を担う高木氏が復興の現状をどのように捉え、今後の復興政策をどのように進めようとしているのかを被災地に示さなければならなかったはずだ。

 震災と原発事故から4年8カ月の節目にもかかわらず、復興政策の議論がなされないままに終わってしまったのは、残念としかいいようがない。

 高木氏は被災地訪問を始めたばかりだ。県内では、原発事故の避難区域を抱えた市町村訪問が、まだ一巡していない。

 地震や津波の傷痕を残す地域もある。被災の現状は市町村によってさまざまだ。復興事業の進み具合も一様ではない。生活や事業再建への道筋など、被災した住民が抱え込んでいる問題も複雑だ。

 来年度からは震災の復興予算の一部に地元負担が求められる。県や市町村が懸念している復興事業の財源や、復興に携わる人材の確保をどのように支えていくかも復興相が担う大きな役割のはずだ。

 復興相には、被災地の実態をきめ細かくつかんだ上で、復興再生のまちづくりを県や市町村と連携して進めることが求められる。

 そのためには寸暇を惜しむ姿勢を期待したいが、高木氏の問題は就任直後からついて回っている。この問題をいつまでも引きずっていては、資質が疑われるだけでなく被災地との信頼関係が崩れることを肝に銘じる必要がある。

 まして職務に支障が出るようであれば、復興の遅れと風化を加速させるとの懸念が拭えない。

 復興相をめぐっては、民主党が政権を担っていた震災の年の2011年6月に就任した初代復興相が、自らの舌禍で就任9日目で辞任した経緯がある。

 復興相は、政府の復興政策の司令塔のはずだ。県や市町村は、これから来年度予算編成の重要な時期を迎える。司令塔がぐらつくようなことがあってはならない。