【11月19日付社説】避難事業者の再建/手だて尽くし決断後押しを

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 東京電力福島第1原発事故で避難している商工業者らの事業再開を阻んでいる障壁を一刻も早く取り除いて自立を後押しすべきだ。

 事業者支援に取り組む「福島相双復興官民合同チーム」の調査によれば、原発事故に伴い避難指示が出た12市町村の事業所のうち、古里での事業再開や継続を希望しているのは、意向確認ができた1388事業所の45%に当たる627事業所だった。

 一方で、16%(221事業所)は、古里に帰っての事業再開は難しいと考え、5%(67事業所)は既に廃業を決めている。時の経過とともに再開意欲は衰えよう。事業者らの事情や意向の把握を急いで進め、事業再開に向けて具体的な道筋を付けなければならない。

 調査では、業種ごとの意向状況も調べた。古里に帰って事業再開を希望する業種は、復興需要を見込むことができる建設業と医療・福祉が50%、製造業が48%と比較的高かった一方、不動産業・物品賃貸業は41%にとどまった。

 「古里に帰還して商売が成り立つのか」「復興需要が一巡した後はどうなのか」。事業再開に不安は多々あるだろう。事業再開には客や従業員となる住民の帰還が必要であり、住民の帰還を進めるためには日々の暮らしを支える店や診療所などが欠かせない。背中合わせの関係にある事業再開と住民帰還を同時に実現していくためにはどうすればいいのか。難関は立ちはだかったままだ。

 高木陽介経済産業副大臣は17日に開かれた合同チームと12市町村長らとの意見交換で、「最終的に取り組むのは事業者本人。やる気がなければ進まない」と述べたが、事業者に一念発起を促し、難関を乗り越えていくためには、政府自らもやる気と本気度を示し、施策を練り上げる必要がある。

 意見交換では、初期需要の確保や販路拡大、人材確保に手厚い支援を求める要望や、事業者を支援する補助金制度の使い勝手の悪さを指摘する意見などが出された。

 政府は、専門家による相談支援体制の強化や事業展開支援などの支援メニューを12月末の来年度予算編成に向けて固める方針だ。施策の具体化に当たっては、前例にとらわれることなく、制度面での柔軟な対応や財源の確保に努めるべきだ。

 合同チームは、12市町村における営農再開に向けた取り組みも示した。農業の再生は、農業者だけでなく、地域が復興を遂げるためにも不可欠だ。そのためには地域農業の将来像をまずは明確にすることが重要だ。