【11月21日付社説】県産農産物の検査/信頼の生命線つなぐ努力を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 放射性物質検査に基づいた農産物の流通は、本県産の信頼を担保する生命線だ。消費者に誤解や疑念を受けないよう検査とそのルールを徹底することが、本県農業の再生につながると肝に銘じたい。

 県の放射性物質の抽出検査が済んでいない地区から出荷されたダイズとアズキが、県内のJA農産物直売所やスーパー、道の駅などで販売されるケースが相次いだ。

 県によると、販売側は自主的な検査をしていたが、それで問題がなければ出荷できるといった誤解があったケースや、生産者側に検査や出荷の際の認識が不足していたケースがあったという。

 県がこれらの豆類を回収して検査した結果、いずれも放射性セシウムは不検出か基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回った。

 本県産の農産物は風評払拭(ふっしょく)のため、徹底した検査が求められている。検査の方法やルールの透明性に疑問を抱かせるような事態は、消費者の信頼を損ねかねない。

 県や市町村、JAなど農業団体は、出荷から流通までの検査の流れをあらためて確認し、一貫した再発防止対策に連携して取り組む必要がある。

 県が確認したケースは、会津と中通りで10月末から計5件あった。ダイズとアズキに関しては、県が出荷前に旧市町村単位の地区で抽出検査を行い、放射性セシウムが基準値以下だった地区のものだけが出荷と販売が可能になる。

 今回のケースでは、まだ検査が行われていない地区の一部の農家から出荷されていたことが確認された。県は生産者や販売所、卸売業者などに対し、こうしたルールの周知徹底がされていなかったことを認めている。

 今後は、農家の出荷に間に合うような検査の前倒し実施や、出荷可能となった旧市町村単位の地区を記した地図を販売所など関係機関に定期的に配布するといった再発防止策を図るという。

 今回のケースでは特に、原発事故で自粛していた出荷を再開した農家に、出荷の際のルールについての認識が不足していたことが確認された。

 たとえ放射性物質が検出されなくても、出荷した農産物を回収しなければならないという事態が続けば、新たな風評を呼び込むことにつながりかねない。

 農産物の出荷をめぐっては、国が出荷停止を指示している福島市産のユズが、スーパーで販売された事例も起きている。

 本県農業の再生に向け、積み重ねてきた信頼を崩すことがあってはならない。