【11月22日付社説】再生エネ制度/長期的視野で改革と開発を

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 「2030年には電力量の22~24%を再生可能エネルギーで賄う」という国の目標を達成し、上積みを図るためには、長期的視野に立った制度設計が不可欠だ。

 固定価格買い取り制度の見直しなど再生エネ導入拡大のための制度改革の議論が進んでいる。

 太陽光や風力などの再生エネが総発電量に占める比率は14年度現在、わずか3.2%で、水力発電を含めても12.2%でしかない。

 来年4月に予定されている家庭用電力の自由化も、再生エネの将来に深く関連する。一般の消費者を巻き込んだ透明性の高い議論を進め、諸外国に比べ遅れている電力システムの改革と再生エネ開発の双方を加速するための社会的合意を得ることが重要だ。

 東京電力福島第1原発事故後に導入された固定価格買い取り制度によって、日本の再生エネは急拡大し、電力供給と温室効果ガスの排出削減に貢献した。買い取り制度は、今後も再生エネ導入拡大のために重要なことは間違いない。

 増えた電源が太陽光に偏り、事業認定だけが進み、早期の事業開始につながっていないといった問題を解決するため、買い取り価格の決め方を改めるなどの改革を進めるべきだ。しかし、再生エネ開発事業に真剣に取り組む事業者のリスクを減らし、そのためのコストを社会全体で負担することで再エネを育てるという制度本来の目的を忘れてはならない。

 太陽光に比べて、風力発電などの導入が遅れている。風力や地熱など計画から完成まで比較的長い期間を要する電源の拡大を促す制度改革が求められる。

 買い取り制度では、導入量が増えれば、当面、消費者が負担する賦課金の額も増える。「発電コスト」に対する消費者の理解を得るために政府や事業者には引き続き努力を求めたい。その一方で、消費者も意識改革が必要となる。

 ひとくちに発電コストといっても、石炭や天然ガスの購入費や原発などの巨大な発電所の建設費用とは異なり、小規模分散型の再生エネ開発への資金は、立地地域の産業や雇用の創生に貢献するという利点がある。再生エネ開発のコストは、持続可能なエネルギー社会を築き、地域創生を進めるための投資だと考えたい。

 福島市の土湯温泉町では20日、源泉を利用したバイナリー発電所が竣工(しゅんこう)、先に稼働していた小水力発電所と併せて全国のモデルとなる再生エネの拠点が誕生した。

 制度改革にあたっては、こうした拠点を全国各地に広げる観点からも幅広い議論を交わしたい。