【11月25日付社説】住生活基本計画/先を見据えて新しい政策を

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 人口が本格的な減少期に入ってからの改定だ。縮小社会に対応した新しい住宅政策を打ち出すよう求めたい。

 国土交通省の審議会で、今後10年程度の住宅政策の方向性を示す「住生活基本計画」の見直しが進んでいる。来年3月に決定する。

 日本の人口は2020年代に入れば毎年60万、70万というぺースで減り始める。世帯数もマイナスに転じるため、空き家の問題などが深刻化するのは明らかだ。

 従来の計画の枠組みに基づいた議論にとどめることなく、人口減少が引き起こす事態への対応などについて、将来の見通しを踏まえて討議を尽くしてもらいたい。

 抜本策として、新築住宅の供給を適正にしつつ、中古住宅を重視した政策に本腰を入れるべきだ。さらに空き家対策や老朽マンションの建て替え促進策をいつまでに整えるかなど、住宅市場に対して明確なメッセージともなる行動計画を作成することを提案したい。

 老朽化した住宅の建て替えや市街地再整備などで一定量の新築住宅の供給は欠かせない。しかし、景気対策、相続税対策などを理由に、適正量以上の住宅が供給されるのは、空き家問題を深刻化させることにもなる。

 適正な住宅供給を実現するためには、十分に手入れした中古住宅の価格が市場で正当に評価される仕組みが必要だ。修繕履歴を第三者的な機関が評価し、保存するのも一つの方法だろう。

 空き家対策では、今年5月に特別措置法が全面施行された。その内容は、市町村が対策に乗り出すきっかけとなるが、抜本解決には程遠い。自治体が景観や防災の面から本気に取り組めば取り組むほど、自ら空き家を解体せざるを得なくなるからだ。

 その費用を所有者らから徴収できなければ、税金で賄うしかなくなる。空き家の急増を考えれば、自治体が自ら取り壊す費用に対する国の補助や財源の手当ても考えるべきだ。

 住生活基本計画を見直しているのは国だけではない。県も本年度中の改定を目指している。

 本県の13年の空き家率は11.7%と、それまでの増加傾向から一転、低下した。これは避難者向けの住宅確保や、被災による取り壊しなどを反映した一時的なものとみられる。今後は再び上昇する可能性が高い。

 見直しに当たっては、現計画から引き続き重点となる復旧・復興関連だけでなく、人口減や少子高齢化など先を見据えた実効性のある計画にすることが肝要だ。