【11月29日付社説】EU輸入規制緩和/「安全な福島産」広める契機

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 本県産食品は安全が確保されているという共通認識を、世界中の国々に広げるきっかけにしたい。

 欧州連合(EU)が、東京電力福島第1原発事故に伴って実施している県産食品への輸入規制の一部を緩和する方針を固めた。年内にも施行される見通しだ。

 EUは原発事故後、酒類を除く全ての県産食品について、放射性物質検査証明書の添付を義務付ける規制をかけてきた。

 今回の緩和により、野菜と果実(柿を除く)、畜産品、そば、茶などを規制の対象から除外するとしている。

 これらは、2013(平成25)年と14年の2年間にわたって、放射性物質の基準値超過が発生しなかった品目とされた。

 これまでは、放射性物質が基準値を超えていないにもかかわらず、本県産というだけで一律に規制がかけられていた。安全性について科学的で客観的な判断がなされた結果と受け止めたい。

 ただコメや大豆、柿、水産品などは引き続き規制の対象になる。

 県産の農産物は、生産から出荷までの各段階ごとに放射性物質検査が行われており、流通するのは安全性が確認されたものだけだ。

 全ての県産食品への規制が解除されるよう、県や市町村をはじめ生産団体、流通業者などが一体となって、引き続き安全確保に努めていくことが肝要だ。

 EUが県産食品に対する輸入規制を解除するのは、今回の品目が初めてだ。EUはほかに青森、埼玉両県を規制対象地域から外し、宮城や岩手、栃木など6県のコメ、大豆などを規制対象から除外する方針でいる。

 輸入規制をしている国や地域に対し、科学的な根拠に基づいて規制を撤廃・緩和するよう求めてきた日本政府は「大幅な規制緩和」(農林水産省)と評価している。

 規制の解除や緩和の動きがほかの国や地域に波及するよう、政府は科学的な根拠に理解を得る外交を強める必要がある。

 県はEUの規制緩和について、県産食品の風評払拭(ふっしょく)の取り組みが前進したと受け止めている。

 内堀雅雄知事は先月、イタリア・ミラノで開かれた国際博覧会の会場で県産農産物の安全性をアピールした。

 ほかにも県は、海外から学生やメディア関係者らを県内に招き、農産物の現状を発信してもらう事業などを進めてきた。

 県産食品の信頼を回復させるためには、地道な取り組みを続けていくことが重要になる。国内の消費拡大にもつなげたい。