【12月1日付社説】農業人口の減少/未来図描き実現の道筋示せ

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 「ふくしまの農業」の未来図をどう描くのか。農林水産省の「2015年農林業センサス」はそんな問いをあらためて突き付ける。

 センサスによると、県内の農業就業人口は7万7435人で、5年前の前回に比べて3万1613人、29.0%減少した。

 これは原発事故で調査できない避難指示区域を除いた数字だが、仮に同区域の7297人全員が農業を続けているとしても8万4732人で、前回に比べ2万4316人、23.9%の減少となる。

 いずれにしても県内の農業就業人口は、10万人の大台を初めて割り込んだ。農業を基幹産業の一つに掲げる本県が、全国の減少率19.1%を大きく上回る状況であることを深刻に受け止め、対応策を講じていく必要がある。

 センサスは農業の国勢調査ともいえる大規模調査で5年に1度行われている。今回は震災と原発事故後初めての調査でもあった。全国共通の課題である高齢者の離農に加え、本県は原発事故の風評や農作物の価格下落などが就業人口の減少に拍車を掛けた。

 農業者の高齢化や担い手不足に加え、環太平洋連携協定(TPP)で安い農産物が流入すれば、農業はさらに弱体化する恐れがある。農家が安心して農業に取り組むことができるような経営安定策を強化しなければならない。

 過去1年以上作付けせず、今後も数年間耕作する予定がない耕作放棄地は2万5215ヘクタールで、過去最大を更新し、5期連続で全国最多だった。この面積は伊達市(約2万6000ヘクタール)に相当する。

 耕作放棄地の拡大抑制や解消に向けては「農地中間管理機構(農地バンク)」の機能充実を図るなどして担い手への集積、農地の有効活用に努めなければならない。

 厳しい数字が並ぶ本県の農業だが、就業人口は北海道、茨城、長野、新潟の各道県に次いで5番目に多く、全国有数の農業県であることには変わりがない。

 県が先に発表した2015年度の新規就農者数は212人で、前年度に比べて46人増えた。増加率27.7%は東北トップを誇る。

 県によれば農業法人からの求人増などが増加の要因とみられ、県内農家の出身者が卒業後に就農するケースも多いという。就農者には地域に確実に定着してもらい、農業の先細り傾向にブレーキをかけなければならない。

 加速度的に進む高齢化を考えれば、対策のスピードアップは急務だ。県にはセンサスが投げ掛けた問いをしっかり受け止め、農業の未来図を示すよう求めたい。