【12月2日付社説】子ども精神科病棟/早期設置へ前向きに検討を

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 精神科医療を必要とする子どもたちの外来(児童思春期外来)受診が増えているにもかかわらず、県内には専門の入院病棟がない。

 この実態に警鐘を鳴らす提言を、県は重く受け止め、公的専門病棟の開設に答えを出すべきだ。

 おおむね3歳から18歳の子どもたちを対象とする精神科の専門外来が児童思春期外来で、発達障害や適応障害の診療を行う。

 発達障害には衝動的に行動する注意欠陥多動性障害(ADHD)、コミュニケーションをうまく取れない自閉症やアスペルガー症候群などがある。

 情緒不安定や不登校、引きこもりの子どもたちも診察の対象とされ、診察には専門医をはじめ、臨床心理士や保育士などのスタッフと、それぞれの分野の高い専門性が求められる。

 専門に扱う医療機関・施設や医師、スタッフの数が全国的に不足しており、県内の外来では、新規の予約を受け付けなかったり、予約をしても受診まで数カ月も待たされるのが実態という。

 県病院局によると患者数は増加傾向にあり、県立病院で唯一、専門外来のある矢吹病院の場合、本年度の患者数は800人を超えて3年前の倍近くになる見通しだ。

 初診で2時間といわれる診療に要する時間の長さもネックになり、民間では、病院経営の採算に合わずに子ども専用の入院病棟まで手が回らないという。

 こうした現状に危機感を覚えた精神科の専門医や精神保健の専門家らが、県に対し、子どもの入院病棟の設置を提言した。

 提言は、入院が必要な子どもたちが大人と同じ病棟に入院せざるを得ない現状を指摘している。

 子どもへの精神科医療では、まず子どもの心を落ち着かせる環境を整えることが重要とされる。大人と同じような薬物治療の効果は薄いともいわれる。

 家庭や学校生活を踏まえた治療や、子どもへの心配を募らせる家族が一時的に休息を取れるような支援(レスパイトケア)も求められており、子ども専門の入院機能は不可欠といえよう。

 提言は福島医大の理事長、副理事長経験者らを中心に、2010(平成22)年から5年間の検討を重ねてまとめたものだ。

 震災と原発事故に伴い、子どもの心のケアの重要性は増しているはずだ。取り組みが遅れてきたことへの提言でもある。

 県はあす有識者懇談会を設置し精神科医療の充実検討を始める考えだ。子ども専門病棟の開設に早急に道筋を付ける必要がある。